2019年1月15日火曜日

黒マスクの記事について

毎日新聞より取材を受けて、黒マスクが流行った現象に対応したのですが...



その後、pescaさんというペンネームの方から1通の手紙をいただきました。

研究者であれば、黒いマスクが「怖い」「不気味」だと感じることの「理由」をしっかり調べて述べてくれ、商業主義を助長させないでくれ、という叱責でした。私は取材を受ける際も、その取材がどのような目的でされているのか聞いているつもりではありますが、私の対応が黒マスクの商業主義を助長させたというのであれば、それは私の目的ではありませんでした。言うまでもありませんが、私は中立です。

私にはこの立場で、そして色彩心理学というイメージの心理学の分野からできることが限られていますが、手紙を読みながらそんな歴史があったのか、と胸が痛く、そんなことを知っていたら私の対応も違ったのかもしれないという思いを持ったので、このブログでpescaさんの文をそのまま引用させていただきたいと思います。


以下 pesca 埼玉県住 引用文
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「怖い」「不気味」と感じる理由は多くあると思いますが、色の持つイメージではないと考えます。私どもの経験ですが、戦後、多くの負傷兵が路上にあふれていました、白い病服を着て、松葉つえ、包帯、本物かどうか?と疑いたくなる場合もありましたが、募金を求めていました。その中には、黒マスクの負傷兵さんが散見され、革製(確認はないですが)の黒マスをした兵隊さんがいました。この中には、マスクをとって傷を示す人もありました。傷が治ってマスクのない兵隊さんもいました。通りの人は顔を背ける場合が多く、直視できませんでした。このため、いきなり黒マスクを外されることは、特に子供にとって、大変な恐怖だったのです。足早に離れたことを思い出します。また、女の子の前で、それをオドシゴッコにして、卒倒させた例もあったようです。子供に対して、黒マスクが来るぞ!といえば大変な脅威で、夜も寝れません。
このような経験から、黒マスが本当に怖いのです。負傷兵としました、傷病兵もいました、特に梅毒患者は鼻が無い、なんて言われていましたから、大人でも怖いのです。今でも、当時の状況を連想すれば、怖い以上に怖いのです。
何も知らない世代になり、黒マスクの歴史はどうでもよくて、ファッションになっていますが、怖さの分析を色だけで説明されるのは、研究員の社会調査の不足が指摘されるのでは、と感じた次第です。傷病兵の黒マスクといえば、多方面からの反響が予想されるので、紙面の色彩分析の説明になったと理解します。

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このような黒マスクへの体験を自分が持ったとしたらどうだろうと、若い世代のひとりひとりが考えることが大事なのだと思い、このブログに投稿させていただきました。

色彩には集合的なイメージも宿りますが、個人的な経験に伴うイメージや複雑な感情も伴ってゆきます。どれだけの方が今このようなことで苦しまれているのだろうと思うと、胸が痛くなります。この度、我々はpescaさんの手紙によりこのような歴史を知るに至りましたが、今後も取材などに応える際は、でき得る限り普遍的なものから受ける心の動きについて「自然が語ることば」としての色彩を語るよう、心がけていきたいと思っています。そして、色彩が与えてきたこのような出来事について声をいただき、また普遍的なところから、イメージの心理学として考えてゆきたいと思います。

いろいろと語り尽くせない思いがありますが、これにて失礼いたします。