自分の木を語る


『 風 』
とにかく風が吹いていて、黄色の枝葉が揺れている。
風ってなんだろう。まず思いつくのは、「自分自身に訪れる出来事」。それを風だと感じる。

黄色の繁った葉の奥には、パイナップルグリーンや、赤やオレンジ、ディープパープルのような色の葉を隠している。風が吹くと、それが見えてしまう。そこは培ってきた、何かこの木にとって、大切なもののような気がする。
この木の頭のような部分はほんとは小さいのかもしれない。黄でかさ増しして見えるだけで、実質、木の葉の部分としてはどうなんだろう。チャラチャラして見せているような黄の部分が多い。身軽に見せて、本当に軽くて内容がないなんて救いようがないから、そう考えるのはやめたいところだけれど。



ぐっと幹が立っている。この幹は、たぶん倒れることないな。逆に固すぎやしないだろうか。干ばつとかには気をつけないと、幹が割れてしまうかもしれない。置かれている環境の、風の強さに対抗してこのような幹ができたのだろう。

この木の悩みはなんだろう。
向かい風のような風だろうか、追い風だろうか。いろんな方向から吹いている風と、どのように生きていこうかと悩んでいるのかもしれない。左から吹いてきて、右に抜けていくように、この木の全身をなでていく。

そうだよな。
こんな風になるまでは、周りが立ちはだかって、
ぬりかべのように風を遮ってくれてたのかもしれない。
今は、吹かれっぱなしだ。
吹きさらして、自分のハゲているところまで見えてしまう。
そうやって強くなるのかもしれないな。