胎内の色


赤ん坊が包まれる色について、考えていた。



胎内の色を何度か描くことを重ねてきた。
やっぱりそれは、ピンクだった。
優しくて、絶対的な安心と、絶対的な楽園をもたらすあたたかなピンク。

色がすごいのは、描くことで体感できることだと思う。
描けば、赤ん坊になぜピンクが必要なのかが、私の底の方でわかる。
母親がどうして宇宙のようになるのかもわかる。
味覚が変わったり、人格が変化したように感じたり、
それが当然のことだとわかってくる。

母親は、体まるごとを差し出して、
赤ん坊の生命を育むための宇宙になっている。

描いていれば、なんとなく、そのすごさがや、感謝の気持ちが湧いてくる。


闇の青が紫がかってピンクへと移り変わる。
無区別の混沌とした栄養が、優しく赤ん坊へと伝わっていく。
母親はできるだけ、胎内で優しくあろうと努力している。

紫からピンクへの移り変わりは果てしなく描ける。
それは赤ん坊に対する愛情からだと思う。

妊娠中のお母さんたちは、この色を生きているから容易に描くことができる。
でもきっともっと大切なのは、お父さんたちがこれを描くことなのだろうと思う。
男性のマタニティ体験として、胎内の色を描くことは、
赤ん坊の気持ちになることであり、
母親の胎内を思い祈る気持ちであると思う。

繊細な色鉛筆で、何度も何度も線を重ねながら
胎内の赤ん坊を思って。
母親の胎内を思って。
1つの生命の誕生は、宇宙とつながっている。