6月の色:琥珀色

琥珀色とは、琥珀の石のような色、すなわち透明感のある黄褐色のこと(英語にならってアンバーとも呼ぶ)。

ウイスキーの色合いと言えばわかりやすいだろうか。

琥珀は、数千万年~数億年前、地上に繁茂していた樹木の樹脂が土砂などに埋もれ化石化したもので、いわば「天然樹脂の化石」。

大部分は不透明な黄橙色をしており、これが琥珀色とされている。

琥珀のように植物由来の宝石は極めて珍しいらしい。

そのため、生成の過程で古代の昆虫や葉などが自然に入りこんだ石もあるそうだ。

太古の時代の生き物と現代人とをつなぐ石でもあるのだろうか。

琥珀色を見ていると、「大人の落ち着き、余裕」を感じる。黄色側の色の中では珍しい
のかもしれない。

年齢を重ね、社会での経験を積んだからこそ出る色香。

酸いも甘いも知っているが、言葉で多くは語らずに、その雰囲気や佇まいから物語る。

そんな大人の色のように感じてならない。

琥珀となるには、長い年月と一定の条件が必要なのだそうだ。

私たちもそうかもしれない。

ひとりひとりの味わいが出てくるのも、その味わいがわかるようになるのも、長い年月がかかるのかもしれない。

 日本色彩心理学研究所 主任 中田 涼子